生成AIを使わない判断を明示した作品が、むしろ高く評価されている。
VitaSortは外来の待ち行列を緊急度で並べ替えるが、その判断を生成AIに委ねず、確定的なNEWS2スコアを使っている。挙動が読めることを優先した設計だ。Toddle AIは33点の姿勢推定の後に決定論的な歩行分析を適用し、しかも診断ではなく研究プロトタイプだと明示している。DocSyncは確信があればMRを出し、なければ人間にIssueとして投げる。OpenMRSの問診システムは、臨床者が結果を確認してから使う前提を組み込んでいる。
これらはいずれも「AIをどこまで使うか」ではなく「どこで止めるか」を設計している。ハッカソンの評価が自動化の度合いに流れがちな中で、逆方向の判断が効いているのは、審査員が実運用を想像するからだ。医療や人事のように間違いのコストが高い領域では、止まる場所が決まっていない作品は運用に乗らない。
実践への示唆: 作品の中で最も間違えたくない1箇所を特定し、そこだけ確定的なロジックか人間の確認に置き換える。そしてデモでその判断を明示的に説明する。「ここはAIに任せていません」という一文は、技術力の放棄ではなく、問題領域を理解している証拠として受け取られる。